経済情報
<ニューヨーク市地域経済指数>
*2010年9月1日更新
独立独歩のニューヨーク市の上半期の経済成長率は約1.7%でした。ちなみに全米では僅か0.6%の結果に留まりました。過去1年間で見ますと市は約1.1%、全米は0.1%でした。
引き続きフェデラル・ファンド・レート(FFレート:連邦準備銀行への銀行貸出金利)は、0.25%、ディスカウント・レート(Discount レート:連邦準備銀行貸出金利)は0.5%から0.75%へ引き上げられましたままの状況、再景気後退を懸念致しまして変化はございません。失業率(住宅販売の回復、不良債権の増加。)がまだまだ回復軌道ではないことから、今後大きな回復の状況変化がない限り、金融政策の上方修正はないと考えられます。
上記の要因の影響から8月後半よりアパート投資用不動産への物件担保ローン(ノンリコース・ローン)の金利は、金利の基礎(ベース)になります5年物の財務証券が一段の大きな下げの局面に入り、仕上がり金利が一層下がっております。100年に一度の低金利の市場になっております。5年固定金利(4.25%~4.5%)、7年固定金利(4.75%)および担保掛目(金融機関鑑定士の評価の65~75%)と特に金利面が大きく変化しました。他の投資形態(オフィス、ホテル、ショッピング・センター、物流センター、研究開発センター等)投資への金利も同様に下落しております、特にマンハッタンのAAAクラスのオフィスにつきましては、上乗せ金利150BP(1.5%)まで下がっているとの最新情報もございます。
当社が8月末に申請致しました新規プロジェクトの金利は5年固定(30年元本返済):4.5%、7年固定(30年元本返済):4.75%の選択になり、物件の特性より長期保有を考えておりますので、7年固定を申請致しました。
<ノン・リコース融資上乗せ金利>
物件形態 | 1月中旬 | 4月17日付 | 6月29日付 | 担保掛目(6月末) |
アパート(全クラス) | 4~4.25% | 2.80~2.85% | 2.15~2.40% | 70~75% |
オフィス(全クラス) | 5~5.25% | 4.75~5.25% | 3.70~4.20% | 55~65% |
ホテル | 5.5~6% | 5.5~6% | 4.50~5.50% | 50% |
ショッピング・センター | 5.5~6% | 5.0~6% | 4.00~4.30% | 55~65% |
物流センター | 5.25~5.5% | 5.0~5.5% | 4.00~4.50% | 60~65% |
研究開発センター | 5.5~5.75% | 5.5~5.75% | 4.25~4.70% | 60~65% |
物件形態 | 10月12日付 | 2月24日付(2010年) | 担保掛目(6月末) |
アパート(全クラス) | 2.0~3.6% | 2.0~3.0% | 65~75% |
オフィス(全クラス) | 3.65~4.1% | 2.6~3.2% | 55~65% |
ホテル | 4.6~5.3% | 3.9~4.4% | 50% |
ショッピング・センター | 3.8~4.25% | 2.9~3.7% | 55~65% |
物流センター | 4.0~4.3% | 2.95~3.4% | 60~65% |
研究開発センター | 4.1~4.5% | 3.3~3.65% | 55~65% |
・失業率(ニューヨーク市):
(1月)10.4%,(6月)9.5%,(7月)9.4%
* 7月はプライベート部門の健康・レジャー関係(約5,500人)、ビジネス・サービス
関係(約4,200人)と約11,800人の大幅な増加の雇用がございました。全米の7月の雇用増加は約71,000人でしたので、全米の約17%相当がニューヨーク市で創出されたことになります。
2008年9月~2009年12月の間に失われの雇用:約166,000人のピークからすでに約70,000人分回復したと言われております。但し、ウォール街関係は依然と解雇が続いており、上半期に約2,700人の解雇がございました。
* 1992年:11.7%が市の最も高い記録です。
* ブロンクス特別区:約13.4%、ブルックリン特別区:約11.1%
*
上述のように市の記録からでは、今回の失業状況は戦後の不景気の中では最も緩やかな不景気であったとの報告がございます。因って、すでに失業者数は減少に転じており、当初の予想を上回り、健康・レジャー(レストラン・店舗)関係(2010年の市への訪問者の人数は、上半期のペースで換算しますと約4,750万人と昨年を100万人上回ることになります。)を中心に堅実な雇用増加が継続しおり、この年内に約100,000人の増加を達成すれば、遅くとも2011年中には2008年のピーク時の3,800,000人の雇用水準に戻ると予測されております。
ニューヨーク州:(1月)7%,(2月)7.8%(1993年6月以来),(6月)8.7%, (9月)9%
(2010年7月)8.8% *昨年12月より若干の下落でした。
全米:(1月)7.6%,(6月)9.5%,(10月)10.2%,(2010年1月)9.7%,(2月)9.7%
(3月)9.7%,(7月)9.5%
*10年に一回の国勢調査の臨時雇用が上半期ございましたが、その解雇の山(6~7月)も越えましたので、これからは落ち着くのではないかと考えられます。
・インフレ率(ニューヨーク市):
(2010年1月)+0.2%(過去12ヶ月:+2.4%),
(6月)過去12カ月+1.5%
全米(月間):+0.2%(11月), +0.2%(12月), +0.2%(2010年1月)
年間では+2.6%の上昇でした。
| 月間(1月) | 年間 |
ボストン: | +0.2% | +2.8% |
シカゴ: | +0.4% | +2.2% |
ダラス: | +0.1% | +1.8% |
ロス・アンジェルス: | +0.4% | +1.8% |
・建設発注高(ニューヨーク市)
2010年1月の建設雇用は過去5年では最も低く約106,500人の結果だったようです。
昨年10月に、2007年2月以降としては初めて月間雇用数が120,000人を下回り、その後の結果となりました。雇用のピークは2008年8月:約136,900人でした。
その頃との比較で大きく影響している要因は、高層住宅の着工の大幅な減少だと考えております。
・ホテル稼働率と平均宿泊料(市内)
*2009年の8月の平均値は約$199、対前年比29%の下落の結果でした。
| 平均宿泊料 | 稼働率 |
2008年 | $268.59/室 | 81% |
*最も高い時期は、$310.65/室でした。 |
2009年 | $220.42/室 | 67.3% |
2010年 | | 約90% |
※2007年平均:86.8%($302.64),2008年平均:85.9%($310.65)
<訪問者数>
2005年:4,260万人,2006年:4,400万人,2007年:4,600万人,2008年:4,710万人 2009年:4,530万人
*観光業も大きな収入源でございますマンハッタンでは、2008年のビジネス・観光の訪問者数は2007年の記録を更新し、約110万人の増加(対前年比約+2.4%):特に海外からの訪問者数は+17%との発表がございました。その経済効果は、2007年の最高額:289億ドルを更新して、300億ドルになったとの報告がございました。
2009年は対前年にて最低5%下落の約4,500万人と予測されております。5番街の状況のからは、相変わらず活況を呈しており減少している雰囲気は感じられません。
*5番街の49丁目~59丁目の年間歩行者数は約4,000万人とのことです。
【2010年以降の全米経済予想総括】
現時点にて、米国政府は約$12兆(90円換算:約1,080兆円)借入を抱えております。
国内総生産(GDP)がマイナスを考慮しまして約$13.5兆(約1,215兆円)としましてもほぼ1年分のGDP分に匹敵いたします規模に2009年を通して急激に増加いたしました。
新政権になり、その政策が発表された時にある程度は予測されていたことですが、今後はFRBの金利政策の時期と景気の回復スピードが特に重点課題と考えられます。
現在の最重要項目は失業率の上昇を抑えることと考えられます。
<今後の指標予想>
1. 国内総生産(GDP)成長率:+2.0%(2010年),+3.8%(2011年)+4%(2012年)
2. 失業率:2010年末から下落に転じる。
3. インフレ率:+2%以上は2012年以降。
【2010年下半期以降のマンハッタン不動産予想総括】
マンハッタンの不動産市場は全米市場とは異なった動きをしますので、すでに住宅市場は、ミッド・タウンでは売買・賃貸とも底打ちから物件によりましては上昇しており、緩やかな回復の可能性が出てきていると感じられます。オフィス市場は、稼働率・賃料・取引価格の下落率は落ち着き縮小してくると思われます。
為替(4月:85円前後)・マンハッタンの物件ネット利回り(アパート物件:4%~6%)・ノンリコース融資金利(5年固定:4.5%)の3項目の好条件の基、引き続き1990年前半以来の大きな投資機会が2010年中は存在すると考えております。