経済情報
<ニューヨーク市地域経済指数>
*2009年7月1日更新
引き続きフェデラル・ファンド・レート(FFレート)銀行間貸出金利は、0.25%の状況です。アパート投資用不動産への物件担保ローン(ノンリコース・ローン)の金利は、6月に入り米国国債の価格下落(利回り上昇)により、基準金利が0.75%前後上昇しましたが、現在は0.25%程下落し、その上に金融機関の投資用不動産への貸出リスクを考えて上乗せ金利が更に減少したため、基準金利分を相殺したような状況になっております。仕上がり金利(5.875%~6%)および担保掛目(金融機関鑑定士の評価の65~75%)4月の状況と大きく変化しておりません。他の投資形態(オフィス、ホテル、ショッピング・センター、物流センター、研究開発センター等)投資への金利も、この第2四半期に金融機関の上乗せ金利の減少により下落いたしました。オフィスはA・B・Cクラスとも約1%下落しております。(以下の表を御参照下さい。)当社が3月と4月に契約しました2物件の、7月残金精算へのノンリコース融資実行は以下の状況です。
<当社7月実績>
*賃料統制条例下のアパート1棟(25戸、230万ドル)、1室のみ空室、
5年固定金利:5.875%(当初2年間は金利のみ支払い条件。*本年2月までは不可能な条件でした。)元本返済は3年目以降28年均等割り。
融資額:139.5万ドル(売買価格の約60.65%)

*賃料統制条例下のアパート2棟(44戸、$365万)、空室無し。
5年固定金利:6%(当初2年間は金利のみ支払い条件。)
元本返済は3年目以降30年均等割り。
融資額:$250万(売買価格の約68.49%)
<ノン・リコース融資上乗せ金利>
物件形態1月中旬4月17日付6月29日付担保掛目(6月末)
アパート(全クラス)4~4.25%2.80~2.85%2.15~2.40%70~75%
オフィス(全クラス)5~5.25%4.75~5.25%3.70~4.20%55~65%
ホテル5.5~6%5.5~6%4.50~5.50%50%
ショッピング・センター5.5~6%5.0~6%4.00~4.30%55~65%
物流センター5.25~5.5%5.0~5.5%4.00~4.50%60~65%
研究開発センター5.5~5.75%5.5~5.75%4.25~4.70%60~65%
・失業率(ニューヨーク市):
(1月)6.9%,(2月)8.1%:(前年同月:4.4%),(3月)8.1%,
(5月)8.9%,(6月)9.5%(1997年以来、全米平均に追いつきました。)*1992年:11.7%

*6月の解雇は6,500人、昨年の8月の雇用のピーク時より約111,000人の失業になり、約106,500人が民間企業です。(証券業は5月の約700人から6月の約3,500人に急上昇しました、2007年11月より約25,700人と業界の約14%に当たります。)他の業界の6月の状況は以下の通りでござます。
・小売業:約-2,200人,建設業:約-1,500人,法律関係:約-1,300人
・飲食業:約+3,000人,民間学校教育関係:約+2,500人,(今年5月までの合計は約+4,100人、医療介護関係は今年5月までの合計は約+5,400人でした。)
*6月時点での失業者数は、約381,200人になり対前年比にて約170,000人の増加になりました。(市の労働人口の約1%に当たります。全米では約2.5%になりますので、まだ低い都市を位置づけられます。)2009年までに約400,000人に達すると予測されております。
ニューヨーク州:(1月)7%,(2月)7.8%(1993年6月以来),(5月)8.2%,(6月)8.7%
*1992年10月以来の高さです。上記のニューヨーク市を以外では、(5月)7.7%,
(6月)8.2%であり、全州の失業者数は約854,200人になります。

全米:(1月)7.6%,(2月)8.1%,(3月)8.3%,(5月)9.4%,(6月)9.5%
*6月の1ヶ月間に約467,000人の失業速報値が発表されました。今年前半の2・3月のような約600,000人以上のような状況ではないにしろ、自動産業の再構築に伴いまだ引き続き失業者は増加すると考えられます。
7月速報値は、9.4%に昨年来の上昇から初めて下落に転じたようです。月間の失業数も昨年の夏以来の低さの約247,000人と報告があり、今年1月の3分の1の水準に落ち着いてきたようです。但し、予断を許さないことは6ヶ月以上の失業者が34.3%と61年振り(戦後)の高さなり、総人口に占める労働者の比率が59.4%と80年前半の以来の低さであることです。
・インフレ率(ニューヨーク市):
(11月)‐1.6%,(12月)+0.2%(過去12ヶ月:+1.5%)
*11月につきましては、1940年以降の統計にて1ヶ月当り下落率では最も高い数値でした。ちなみに11月の全米ベースでは約-2%でした。
・エネルギー部門:-14.2%(ガソリン価格:-26.4%,電気・重油等価格:-4.4% 天然ガス:+4.2%,10月は+6.8%)
・衣料品部門:-3.7%
・飲・食料品部門:0%(19ヶ月連続上昇後。)
*全般として、クルード・オイルが昨年7月中旬に$150弱/バレルをつけて以来、その後3分の1まで下落したことが大きく影響している。
・建設発注高
2009年1月~4月の4ヶ月間の住宅系・商業系の全ての分類におきまして、前年同期比
約80%下落、総額:$205,000万(約2,050億円)でした。
但し、5月は大型プロジェクトが始動しましたので、1ヶ月間で$204,000万の発注でした。
さらに、良い報告はこれから約$150,000万の政府からの経済活性化のための発注資金の
配分がございます。建設工事費は、どの分野におかれましても前年同期から30~40%の下落との報告がございました。住宅の発注戸数は、1~4月の平均は460戸/月でしたが、5月は671戸に上昇したようでございます。
・ホテル稼働率と平均宿泊料
2009年の1~3月の数値は対前年比にて以下のような結果でござます。
平均宿泊料稼働率
2008年$268.59/室81%
*最も高い時期は、$310.65/室でした。
2009年$220.42/室67.3%
<訪問者数>
2005年:4,260万人,2006年:4,400万人,2007年:4,600万人,2008年:4,710万人
*観光業も大きな収入源でございますマンハッタンでは、2008年のビジネス・観光の訪問者数は2007年の記録を更新し、約110万人の増加(対前年比約+2.4%):特に海外からの訪問者数は+17%との発表がございました。その経済効果は、2007年の最高額:289億ドルを更新して、300億ドルになったとの報告がございました。
2009年は対前年にて最低5%下落の約4,500万人と予測されております。5番街の状況のからは、相変わらず活況を呈しており減少している雰囲気は感じられません。
*5番街の49丁目~59丁目の年間歩行者数は約4,000万人とのことです。
【2009年予想総括】
2009年下期を通してマンハッタンのオフィス市場は、引き続き稼働率・賃料・取引価格の下落すると思われます。但し、全米市場とは異なった動きをすると考えられます。住宅市場は、売買・賃貸とも底打ちの可能性が出てくると感じられます。引き続き1990年前半以来の大きな投資機会が到来していることに変わりはないと考えております。