経済情報
<ニューヨーク市地域経済指数>
*2009年11月1日更新
引き続きフェデラル・ファンド・レート(FFレート)銀行間貸出金利は、0.25%の状況です。年内はもちろんのこと、来年の3月までは大きな回復の状況変化がない限り、上昇はないと考えております。7月以降のアパート投資用不動産への物件担保ローン(ノンリコース・ローン)の金利は、5年固定仕上がり金利(5.875%~6%)および担保掛目(金融機関鑑定士の評価の65~75%)と大きく変化しておりません。他の投資形態(オフィス、ホテル、ショッピング・センター、物流センター、研究開発センター等)投資への金利も、この第3四半期に金融機関の上乗せ金利の減少により下落いたしました。11月に入り、オフィスはA・B・Cクラスとも約1%下落しており、上乗せ金利は今年始めて4%を切るところまで下落しております。(以下の表を御参照下さい。) 当社が3月と4月に契約しました2物件の、7月残金精算へのノンリコース融資実行は以下の状況でした。(最近はファニー・メイの保証付き融資の場合、5年固定では4.95%の条件も出始めております。但し、借入金中は解約が不可能です。)
<7月当社ノンリコース・ローン調達実績>
*賃料統制条例下のアパート1棟(25戸、230万ドル)、1室のみ空室、
5年固定金利:5.875%(当初2年間は金利のみ支払い条件。*本年2月までは不可能な条件でした。)元本返済は3年目以降28年均等割り。
融資額:139.5万ドル(売買価格の約60.65%)

*賃料統制条例下のアパート2棟(44戸、$365万)、空室無し。
5年固定金利:6%(当初2年間は金利のみ支払い条件。)
元本返済は3年目以降30年均等割り。
融資額:$250万(売買価格の約68.49%)
<ノン・リコース融資上乗せ金利>
物件形態1月中旬4月17日付6月29日付担保掛目(6月末)
アパート(全クラス)4~4.25%2.80~2.85%2.15~2.40%70~75%
オフィス(全クラス)5~5.25%4.75~5.25%3.70~4.20%55~65%
ホテル5.5~6%5.5~6%4.50~5.50%50%
ショッピング・センター5.5~6%5.0~6%4.00~4.30%55~65%
物流センター5.25~5.5%5.0~5.5%4.00~4.50%60~65%
研究開発センター5.5~5.75%5.5~5.75%4.25~4.70%60~65%
物件形態10月12日付担保掛目(6月末)
アパート(全クラス)2~3.6%65~75%
オフィス(全クラス)3.65~4.1%55~60%
ホテル4.6~5.3%50%
ショッピング・センター3.8~4.25%55~60%
物流センター4~4.3%60~65%
研究開発センター4.1~4.5%55~60%
・失業率(ニューヨーク市):
(1月)6.9%,(6月)9.5%,(8月)10.2%,(9月)10.3%,(10月)10.3%
* 16年振りの高さですが、1992年:11.7%がございます。
* ブロンクス特別区:約13.4%、ブルックリン特別区:約11.1%
* 10月に15,600人の失業を記録し、昨年8月がピーク時点より約125,300人の失業、3.3%の下落にて現在の雇用者数は3,110,00前後になりました。最大は証券関係の29,300人(2007年後半のピーク時点より。)、次に建設業の16,300人(2008年ピーク時点より。)その他にビジネス専門業、ビジネス・サービス、製造業、貿易、運輸業等が続きます。
* 夏休みに期間の市役所関係の臨時雇用が9月に終了したことも多少影響しております。
* 10月の内訳
・ 建設業:約-2,900人,証券関係:約-1,700人,
  ・ その他(レストラン・店舗):約-2,000
ニューヨーク州:(1月)7%,(2月)7.8%(1993年6月以来),(6月)8.7%, (9月)9%
* 1992年10月以来の高さとなりました。
全米:(1月)7.6%,(5月)9.4%,(6月)9.5%,(10月)10.2%
*第3四半期のGDP(国内総生産)の年率換算は当初速報では3.5%でしたが、2.8%に下方修正されております。

・インフレ率(ニューヨーク市):
(8月~9月)+0.1%(過去12ヶ月:0%)
* 全米(月間):+0.4%(8月), +0.2%(9月), +0.3%(10月)
10月は予想では+0.2%でしたが、エネルギー関係と自動車の販売が0.1%押し上げたようです。
全米(店舗・レストラン等の売上げ):
+2.5%(8月), -2.3%(9月), +1.4%(10月)
特に自動車のついては、+7.3%と政府の優遇時限措置の効果の結果と考えられます。
・建設発注高(全米)
一次取得者への減税時限措置の期限が切れたことの反動もあり、10月の着工件数は529,000戸(予想:600,000戸)と9月より10.6%の下落し、建築許可件数も552,000戸(予想:575,000戸)の結果となりました。来年4月までの減税措置の延長が議会を通過しておりますが、建設業者のその効果への判断が今後の着工の増加に繋がると考えられますので、慎重に見極めていく必要があります。
・ホテル稼働率と平均宿泊料(市内)
*2009年の8月の平均値は約$199、対前年比29%の下落の結果でした。
平均宿泊料稼働率
2008年$268.59/室81%
*最も高い時期は、$310.65/室でした。
2009年$220.42/室67.3%
※2007年平均:86.8%($302.64),2008年平均:85.9%($310.65)
<訪問者数>
2005年:4,260万人,2006年:4,400万人,2007年:4,600万人,2008年:4,710万人
*観光業も大きな収入源でございますマンハッタンでは、2008年のビジネス・観光の訪問者数は2007年の記録を更新し、約110万人の増加(対前年比約+2.4%):特に海外からの訪問者数は+17%との発表がございました。その経済効果は、2007年の最高額:289億ドルを更新して、300億ドルになったとの報告がございました。
2009年は対前年にて最低5%下落の約4,500万人と予測されております。5番街の状況のからは、相変わらず活況を呈しており減少している雰囲気は感じられません。
*5番街の49丁目~59丁目の年間歩行者数は約4,000万人とのことです。
【2010年以降の全米経済予想総括】
現時点にて、米国政府は約$12兆(90円換算:約1,080兆円)借入を抱えております。
国内総生産(GDP)がマイナスを考慮しまして約$13.5兆(約1,215兆円)としましてもほぼ1年分のGDP分に匹敵いたします規模に2009年を通して急激に増加いたしました。
今年始めに新政権になり、その政策が発表された時にある程度は予測されていたことですが、今後はFRBの金利政策の時期と景気の回復スピードが特に重点課題と考えられます。
10月に入り、いろいろな経済指標が+と-の交錯した状況になっており、来年以降の失業率の上昇を止めるためにも早期の景気回復が大きな目標と言えます。
米国債の外国政府の所有比率も中国の成長により、2009年度には約50%近くまで上昇しており、その世界経済に与える影響度が増しておりますので、その政策の舵取りは各国の重要項目と考えられます。
<今後の目標>
1.国内総生産(GDP)成長率:+2.0%(2010年),+3.8%(2011年)+4%(2012年)
2.失業率:2010年中頃から下落に転じる。
3.インフレ率:+2%以上は2012年以降。

【2010年以降のマンハッタン不動産予想総括】
マンハッタンの不動産市場は全米市場とは異なった動きをしますので、すでに住宅市場は、ミッド・タウンでは売買・賃貸とも底打ちから物件によりましては上昇しており、緩やかな回復の可能性が出てきていると感じられます。オフィス市場は、稼働率・賃料・取引価格の下落率は落ち着き縮小してくると思われます。
為替(11月後半:86円前)・マンハッタンの物件ネット利回り(アパート物件:5%~7.5%)・ノンリコース融資金利(5年固定:4.95~6%)の3項目の好条件の基、引き続き1990年前半以来の大きな投資機会が2010年上期までは存在すると考えております。


2009年7月1日(アーカイブ)
2009年4月1日(アーカイブ)
2009年1月1日(アーカイブ)